最近では次回の生理が生理予定日より遅れると、市販の妊娠検査試薬で検査をされてから来院される方が多くなりました。
そうすると、来院時には妊娠4~5週くらいの方がおられます。
残念ながら、あまりに妊娠週数が早いと超音波診断装置でもその変化を捉えることができません。また、排卵が遅れていることもあり、1~2週間の誤差を含みながら診察を進めていくのが一般的です。
超音波検査で子宮内に胎嚢(いわゆる卵)が認められない場合には、再度尿検査にて妊娠反応を検査させていただくことがあります。
市販の妊娠検査試薬も医療機関が使用する妊娠検査試薬も、感度は同じですが非常に鋭敏なために操作により陰性・陽性が微妙なこともあることから再チェックさせていただくようにしております。
また胎嚢と医学的に診断するには、基本的な構造(卵黄嚢:胎嚢の中に白いリング状の構造物)が確認できなければなりません。ちょうど、鶏の卵に白身と黄身があるような構造で黄身にあたる部分が卵黄嚢になります。
ところが、その確認を怠り、子宮内に黒い像を認められただけで胎嚢と診断する医師がたくさんいます。ほとんどは問題は起こりませんが、稀に子宮外妊娠を見落としたり、子宮外妊娠なのに中絶手術を実施して子宮外妊娠で破裂を起こしたりと、いままでに何例もそういった患者様の搬送を受けてきました。
過去に、下腹部痛で救急病院内科を受診し、担当医に1週間前に中絶手術をした旨を伝えたところ、妊娠はその時点で終了していると判断してしまい、妊娠に関連することを全く疑わず破裂してから搬送されてきた症例がありました。本人は中絶手術をしているので産婦人科を考えず内科を受診したといこと、また担当医も妊娠は中絶手術をされているので終了したものとして、内科的な疾患ばかり考えていたということです。いかに正確な診断が必要か思い知らされたケースです。
当クリニックでは、厳密に医学管理をしてゆきますので妊娠初期の場合に胎嚢が確認できない場合には次のような可能性があることを説明しております。
(1)妊娠初期
(2)流産:実際には胎嚢が確認できてもいいのに発育していない
(3)子宮外妊娠
(4)その他:胞状奇胎など特殊な病態
いずれの場合においても、特別な症状(出血・下腹部痛など)がなければ経時的に診てゆきます。(1)であれば、1~2週間くらいで子宮内に変化が起こってくることがほとんどです。(2)では出血や下腹部痛などの流産としての症状が起こってくることが多いのです。(3)の場合は残念ながら妊娠初期すぎると典型的な症状がなかったりすると診察や超音波での画像診断でもわからない場合があります。そのために1週間ごとに変化を診てゆかないといけません。妊娠週数が経過すると、胎嚢が発育してくることから周辺の臓器(たとえば卵管など)が腫大してくるために痛みやその周辺に超音波にて血腫が認められたりしてくることがあります。(4)の場合には子宮内に典型的な像は映し出されることがあり、また尿中のホルモン値が異常に高値になるために疑うことになります。また特殊な治療が必要となることがあります。
このように、妊娠に際してもいろいろと難しい問題をはらんでいるのです。だからこそ妊娠初期の診察は非常に大事です。
どうか、おかしいな・・・と思ったらまずは遠慮なくご相談くださるようにお願いいたします。
